相続とは?
相続というと、人の死に伴う身分や地位の異動のことと考える方がおられるかもしれません。戦前には、「家督相続」という制度もありました。
現在では、「相続」は財産の異動のための制度となっています。即ち、「相続」とは、自然人が死にいたった場合に、その財産を特定の者に承継させる制度のことなのです。
相続については、法律で定められているものです。したがって、国ごとにその制度は異なります。日本における相続制度は、「民法」で定められています。
その特徴はおよそ以下の通りです。
1.亡くなった人(被相続人といいます)の財産を引き継ぐことができるのは、特定の親族(相続人といいます)です。
2.相続される対象は、原則として、被相続人の有する権利・義務です。遺産といいます。
3.相続人が相続できる遺産の割合は、法律で決められているが、被相続人が生前に遺言で法律とことなる条件を決めておくこともできる。
4.相続が発生した後、相続人間で具体的な財産の承継方法を定めることもできる。
相続人と相続分、遺産分割
相続は、人の死亡によって開始するとされます。相続が発生すれば、被相続人の財産は、相続人とされる親族が承継するとされます。
誰が相続人となるのかは、民法で次の通り定められています。
- まず、配偶者は常に相続人となります。それ以外は、次の順位が定められています。
- 第一順位の相続人は、被相続人の子です。
- 第二順位の相続人は、被相続人の直系尊属です。
- 第三順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹です。
配偶者とそれ以外の相続人との相続割合(相続分といいます。)は次の通り法定されています。配偶者以外の相続人が複数いれば、その人数で按分した比率が相続分となります。
- 配偶者と子の場合・・・配偶者が2分の1、子が2分の1
- 配偶者と直系尊属の場合・・・配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹の場合・・・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
配偶者と子ども3人が相続人となる場合、配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ6分の1ずつとなります。
なお、子と兄弟姉妹については、相続時に既に死亡していた場合、その直系卑属が代わりに相続できます。これを代襲相続といいます。兄弟姉妹については、代襲相続はその子、つまり甥・姪までとされています。
相続人が相続できる割合のことを相続分といいます。
実際には、相続される遺産は様々です。法律で定められた相続分で綺麗に分けることができるケースは多くはないかもしれません。
そこで、具体的に相続財産を分ける手続が必要となります。それを遺産分割といいます。後述します。
遺言・遺言書とは
被相続人が、法定の相続の原則と異なる方法で、遺産の承継を生前に定めておくこともできます。これを遺言といいます。
遺言で定めておくことにより、法律が定めた相続人以外の者が遺産の承継をすることができます。親族でない者に承継させることも可能です。
遺言では、遺産の承継以外のことを決めることもできます。子の認知などです。
遺言は、法定された様式で行う必要があります。様式は基本的には次の3通りです。遺言は書面で行う必要があるので、遺言が書かれた書面を遺言書といいます。
- 自筆証書
- 公正証書
- 秘密証書
死が差し迫った場合にすることができる危急時遺言・隔絶地遺言という方式もあります。それらは特別なケースのみ可能です。
相続が起こる前に準備しておくことは?
相続に備えて準備する必要があるのは、どの様な場合でしょう?
まず、被相続人に一定の資産がある場合です。
更に、相続人が複数いる場合には、事前の準備の必要性はより高いものと言えます。
では、具体的にはどの様な準備をするべきなのでしょうか?以下の順に確認しておくことが重要です。
1.まず、資産内容の正確な把握が必要です。個別にリスト化することも有効です。負債がある場合も当然確認する必要があります。
2.次に資産毎の評価が必要です。時価評価と相続税評価の両方を行う必要があります。
3.もし相続が起これば、相続人となるべき人も確認しておくことが必要です。推定相続人といいます。
4.相続が発生すれば、資産・負債を推定相続人が相続分に従い、相続することになります。そのことで不都合が生じるのであれば、対策が必要となります。
不都合としては、以下の様な事項を挙げることができます。
- 相続税が支払えない、もしくは相続税が過大となること
- 遺産の承継が、被相続人の意向に沿わない、または特に法定の相続とは異なる遺産承継を希望すること
前者の場合には、資産構成の組み換えや、一部処分などを行うことが必要でしょう。プライベート・バンクなどがアドバイスしてくれるでしょう。
後者の場合は、遺言書を準備する必要があります。法律の専門家のアドバイスが有用です。行政書士もこのお手伝いをすることができます。
相続が起こった場合になすべきことは?
相続は、死亡によって開始するとされます。お亡くなりになった時点が、相続の開始時点です。お亡くなりになった方に、相応の資産があれば、相続手続が必要です。
手続は、遺言書の有無で変わってきます。遺言の有無は、必ずしもご遺族がご存じでないかもしれません。
公正証書遺言については、お近くの公証役場平成元年以降作成分の有無を確認できます。令和2年からは、自筆証書遺言も法務局で保管できる制度ができました。
遺言書があれば、その内容を実現する手続が必要です。これを遺言執行といいます。主として、遺言の内容に従った遺産の分配や個別の財産の交付(これを遺贈といいます。)などです。
遺言執行は相続人自身で行うか、遺言執行者を選任して行います。遺言執行者の選任は、遺言であらかじめ決めておくこともできますが、相続が起こった後に相続人などの利害関係人が請求して家庭裁判所が行います。
遺言のない場合は、法律、民法に従い、遺産分割を行うことになります。
基本的には、遺産分割は相続人が協議して行います。これを協議分割といいます。相続人間で個別の財産の帰属や分配方法について合意ができれば、文書することが通常です。これを遺産分割協議書と一般には呼びます。
もし、相続人間で合意できない場合には、裁判所にこれを委ねることもできます。審判分割といいます。調停手続で決める場合は、調停分割といいます。
なお、遺言において、遺産分割方法を指定することもあります。この場合も遺産分割の協議が不要という訳ではありませんが、「Aという不動産を相続人の甲に相続させる」という遺言があれば、遺産分割なしに甲はAの所有権を得るというのが判例です。
当事務所がお手伝いできること
日本橋プライム行政書士事務所では、以下のサービスで、お手伝いさせています。
遺言書作成サービス
被相続人となられる方の資産調査・評価を踏まえた、相続後の財産のご親族への分配についてのアドバイスを踏まえて、遺言書の文案作成を行います。
遺産分割協議書作成サービス
相続人の皆様とのインタビューや遺産調査及び評価を踏まえた、遺産分割協議書の文案作成を行います。
遺言執行サービス
裁判所の選任を受けることを条件に、遺言執行人として遺言執行を行います。
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